骨盤裂離骨折（こつばんれつりこっせつ）は、強い筋肉の力によって、骨盤の一部が引っ張られて骨からはがれるように折れてしまう特殊な骨折です。

特に成長期の10代の学生や若いアスリートに多く見られ、スポーツ中に起こることがほとんどです。

裂離が起こりやすい部位には次のような場所があります：

・上前腸骨棘（ASIS）：縫工筋・大腿筋膜張筋の牽引

・下前腸骨棘（AIIS）：大腿直筋の牽引

・坐骨結節：ハムストリングスの牽引

一見「肉離れ」と似ているため見逃されやすいですが、放置すると痛みが長引いたり、関節や筋肉に後遺症を残すこともあるため注意が必要です。

■ 主な原因は「筋肉の強い引っ張り」

瞬間的な強い筋肉の収縮によって、筋肉が付着している骨の一部が剥がれるように骨折します。特に次のような動きで発症しやすいです：

・短距離走でのスタートダッシュ

・サッカーのシュート動作

・バレーボールのジャンプや着地

・ダンスでの急な開脚やターン

成長期の骨はまだ柔らかく、筋肉の強さに対して骨の強度が追いついていないため、このような骨折が起こりやすいのです。

■ 柔軟性不足やウォーミングアップ不足も要因に

身体が十分に温まっていない状態で無理な動きをすると、筋肉が急に引っ張られて裂離骨折が起こるリスクが高まります。

骨盤裂離骨折は、初期の痛みが軽度であることもあり、放置されやすいケガです。

しかし、適切な処置を受けないと次のような問題が生じます。

・痛みの慢性化・偽関節の形成

　骨がきちんとくっつかずに「偽関節（ギカンセツ）」になると、骨がグラグラ動いてしまい、長期にわたり痛みが残ることがあります。

・関節の動きに制限が出る・筋力が低下する

　股関節周囲の動きが悪くなり、運動パフォーマンスが落ちることや、姿勢が崩れる原因になります。

・他の部位の二次障害
　痛みをかばった動作が続くと、腰・膝・足首など別の場所に負担がかかり、連鎖的に不調を引き起こすことも。

骨盤裂離骨折は「安静＋正しいリハビリ」が回復のカギです。

当院では、スポーツ復帰までを見据えた段階的なケアを行っています。

【炎症期（受傷直後〜数週間）】

・アイシング

・微弱電流

・超音波などの物理療法

・テーピング

・包帯固定による患部の安定化

【回復期（炎症が落ち着いた頃〜）】

・関節の可動域を改善する運動

・骨盤周辺のインナーマッスルや大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力強化

・スポーツに向けたフォーム指導や動作改善

【鍼灸治療】

・筋肉の緊張を和らげ、深部の血流を促進

・回復力を引き出し、自然治癒をサポート

最後に

骨盤裂離骨折は、適切な対応をすれば十分に回復できるケガです。

しかし、無理をして運動を続けたり、治療が遅れることで長期的な障害につながるリスクもあります。

「運動中に股関節まわりがズキッと痛んだ」

「しばらく経っても痛みが引かない」

そんな方は、早めに宇治東洋鍼灸整骨院にご相談をおすすめします。